米澤穂信「遠まわりする雛」感想 -初めての経験は、これまで解き得なかった疑問を解く大いなる鍵となる-
著者
刊行
2007年(単行本)
2010年(文庫本)
あらすじ
古典部の高校1年1学期から春休みまでの1年間の出来事が描かれており、今回はシリーズ初の短篇集となっています
- 「やるべきことなら手短に」・・・古典部と秘密倶楽部
- 「大罪を犯す」・・・古典部と憤怒の罪
- 「正体見たり」・・・古典部と温泉
- 「心あたりのある者は」・・・古典部と放送
- 「あきましておめでとう」・・・古典部と初詣
- 「手作りチョコレート事件」・・・古典部とバレンタイン
- 「遠まわりする雛」・・・古典部と雛祭り
登場人物
- 折木奉太郎・・・古典部員、怠惰の罪
- 千反田える・・・古典部部長、レンゲ
- 福部里志・・・古典部員、データベース
- 伊原摩耶花・・・古典部員、アザミ
- 多丸潤子・・・ピアノ部部長
- 尾道先生・・・数学教師
- 善名梨絵・・・民宿「青山荘」の姉妹(姉)
- 善名嘉代・・・民宿「青山荘」の姉妹(妹)
- 十文字かほ・・・1年D組の生徒
- 沢木口美崎・・・天文部員
感想
『氷菓』、『愚者のエンドロール』、『クドリャフカの順番 』 に続く〈古典部〉シリーズ第4弾です。これまではそれぞれ「氷菓事件」、「女帝事件」、「十文字事件」と1つの作品につき1つの大きな謎を軸として物語が展開していきましたが、今回はシリーズ初の短篇集となっています。
初めての経験は、これまで解き得なかった疑問を解く大いなる鍵となる。
「あきましておめでとう」 ・・・『十三号独房の問題』
メモ
フォークロア(アーバン・レジェンド):「都市伝説」という言葉が、日本に登場したのは1988年のジャン・ハロルド・ブルンヴァンの著書『消えるヒッチハイカー』が大月隆寛、重信幸彦ら民俗学者によって訳された、アーバン・レジェンド(Urban Legend)という造語の訳語としての「都市伝説」が最初である。
「都市伝説」という用語が提唱されるまでは、この現象を指し示すために様々な用語が使われていた。「urban belief tales」(都市で信じられる話)、「urban narratives」(都市の体験談)と呼ぶ者もあり、必ずしも「都市」で広まるとは限らないこともあり、伝統的な民話に対して「modern legends」(近現代の伝説)ともいう。社会学者や民俗学者は同様の意味で「contemporary legends」と呼んでいる。
「都市-」(英: urban)という形容詞は、「都市の、都会の」というような地域を示しているのではなく、「都市化した」という意味で使用されている。したがって、その説話が伝統的文化に由来しないものであれば、説話の舞台設定が農山漁村であっても都市伝説と呼ばれる。
ブルンヴァンの『消えるヒッチハイカー』によれば、「都市伝説」の中の「伝説」とは、「話し手がそれを実際にあったできごととして語っている」ことを指すという。また同書の訳者はこの「伝説」を「『世間話』という口承文芸の雑然としたオモチャ箱的ジャンル」とも表現している。
インターネット掲示板・ブログ等に由来するものは、とくにネットロアと呼ばれることもある。ネットロアとは「インターネット」と「フォークロア」から造られたかばん語である。
『ちりめん(縮緬)』
ちりめん(縮緬、クレープ織り、仏: crêpe):絹を平織りにして作った織物。
縦糸にはほとんど撚り(より)のない糸を使い、横糸に強い撚りをかけた右より(右回りにねじる)と左より(左回りにねじる)の糸を交互に織ったものである。そのため精練すると布が縮み生地の表面にシボ(凹凸)が現れる。主に高級な呉服や風呂敷に使われる。主なものに、京都府丹後地方の丹後ちりめん、滋賀県長浜市の浜ちりめんがある。現在、京都府丹後地方では原料の糸を絹から綿・化合繊に変えた丹後ちりめんも織られている。
『小紋』
小紋(こもん):日本の着物(和服)の種類の一つ。全体に細かい模様が入っていることが名称の由来であり、訪問着、付け下げ等が肩の方が上になるように模様付けされているのに対し、小紋は上下の方向に関係なく模様が入っている。そのため礼装、正装としての着用は出来ない(江戸小紋を除く)。
現在は模様の大きさや密度に関わらず、上下方向関係なく模様が入っている着物は総称して「小紋」という。染めの技法によって「紅型小紋」「絞り小紋」「更紗小紋」など多種多様な小紋が存在する。その中で、主な「小紋」の技法として知られるのは「江戸小紋」「京小紋」「加賀小紋」である。
また礼装の下の普段着に属するものであり、着物の格としての用いられ方もする。